2023年度の差別おすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2023年度の差別成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月09日の時点で一番の2023年度の差別おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

74.7 1 2023年度の差別アニメランキング1位
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(アニメ映画)

2023年4月28日
★★★★☆ 4.0 (81)
329人が棚に入れました
任天堂の人気ゲーム「スーパーマリオ」の世界を原作とした3DCGアニメーション映画。
ニューヨークで配管工を営む双子の兄弟マリオとルイージ。
謎の土管で迷いこんだのは、魔法に満ちた新世界。
はなればなれになってしまった兄弟が、絆の力で世界の危機に立ち向かう。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界史上最大級のヒットを飛ばす異世界アニメ🍄

あらゆる物をヌメヌメ、ネバネバに加工しちゃうハリウッド特殊効果の黒魔術により、
菌糸塗れにされてしまったコレジャナイ悪夢の実写映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』から30年。
3DCG作品として制作された劇場版アニメ映画。


【物語 4.0点】
『ドンキーコング』などアーケードゲームの主役だった初期のマリオはリアル世界寄りの都市民。
ファミコン版『スーパーマリオブラザーズ』以降のマリオはファンタジー世界寄りの冒険家。

例えばゲームを映像化する際に難儀する設定の谷間、ツッコミどころ。
本作は弱点を上手くシナリオ化、ネタ化することでエンタメ性を高めています。

あらすじはNYブルックリン在住の配管工・マリオ兄弟が、地下の土管から異世界に迷い込む。
大魔王クッパから弟ルイージや、プリンセス・ピーチが治めるキノコ王国を守る。

親父に認められず、現実世界で、やっぱり自分は何もできないのか?とくすぶっていた若者マリオが、異世界で何にでもなれる力を得る。
『マリオブラザーズ』が『スーパーマリオブラザーズ』になるまでの物語。
「勇気を持って前に進めば誰もがスーパーマリオになれる」(←日本語版マリオ役・宮野 真守さん談。コメントもイケメン過ぎます👍)

マリオを操作し、難所や強敵相手に何度もトライ&エラーを繰り返しクリアするゲーム性。
これを不屈の異世界冒険譚として昇華することで、忍耐という作品テーマに変換。

それでいて映倫区分G(全年齢対象)
ハリウッド映画も長尺化傾向が続く中、本作は上映時間92分と膀胱にも優しく理想的。
一度出した小物はネタとしてキッチリ回収する米国アニメの伝統芸との絡みも小気味好い。

随所に仕込まれたマリオネタにクスリとできる程度の思い入れは必要。
ですが私は久しぶりに童心に戻って、はしゃぐことができた。
世界的ヒットも頷ける優良なアトラクション・ムービーだと好感しました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ILLUMINATION

上記の実写映画のトラウマもあってか、自社の知的所有権(IP)のメディアミックス展開には非常に慎重な任天堂。
本作ではキャラクターを重視するスタジオ、原作ゲーム愛のある監督スタッフを厳選。
その上で『マリオ』生みの親であるゲームクリエイター宮本 茂氏を始め、任天堂スタッフも積極的に作品に関与。

このゲーム原作作品もまた、特徴的なキャラの動き、やたら空中で動く床にちくわブロックなどのステージやアイテムのギミックを映像に盛り込み、ファンの心をくすぐりにかかる。
凡庸な映像化作品では、ウケを狙っているけど何か違うが多発。
ですが、本作の場合は任天堂のチェックもあってか、それが本当にないです。


私はアトラクション性を最大化するため4DX/3Dで鑑賞。
4Dの方は『マリオカート』の振動と風の臨場感を堪能したければベターくらい。

一方で3Dは絶対チョイスした方が良いと思いました。
3D効果自体は飛び出し控え目、奥行き重視。3DSレベルの平凡な出来。
ですがアスレチック要素の立体視で得られるキャラとの一体感は得難い物があります。
私は意外と横スクロールアクションの再現シーンで、立体視の恩恵をより感じました。


NYブルックリンの街並み描写で感じたのは地下インフラの老朽化。
日本も明治以来の水道管破裂が懸念されたりと大概ですが、NYの方はさらに年季が入っており配管工も大忙しですw
忘れ去られた都市の地下に開いた異界の出入り口から災厄がもたらされても驚けません。
同様の描写が『すずめの戸締まり』の東京地下でもありました。
東京もNYも抱える内憂は共通しているようです。


【キャラ 4.0点】
挑戦的な描写が目立ったのがプリンセス・ピーチ。
座してクッパに蹂躙されるのを待たずに積極行動する勇猛果敢ぶり。

でも考えてみればピーチ姫は仮にも一国のリーダー。
統治能力は当然あるはずですし、ゲーム版にて毎回無抵抗でクッパに攫われたように見えたのは描写が飛ばされていただけなのでしょう、きっと。

アイテムを駆使しつつ立ち回りも派手だったピーチ姫。
振り返ればピーチ姫も『スーパーマリオUSA』ではカブやらヘイホーやらぶん投げていたわけで。
流れで{netabare} マリオ{/netabare} をぶん投げても何ら不思議ではありませんw

さらにはキノコ王国で、おびただしいキノピオたちを束ねる、たった一人の人間・ピーチ姫。
この奇々怪々にも、{netabare} ピーチ姫は幼い頃に土管を通ってこの異世界にやって来て、キノピオたちに育てられたと{/netabare} キャラ設定を掘り下げて来ました。
その上でのマリオとの関係も、恋仲というより、異世界転移の記憶を共有する戦友といった感じ。

キャラ解像度アップは世界征服とピーチ姫を狙うラスボス・クッパも同様。
ピーチ姫に一途に恋して空回りする痛い描写を増量することで、
悪逆非道だが何処か憎めない。むしろかわいいと自称するキノピオたちより余程かわいらしいw
絶妙なブレンドで、キャラクター価値を保全。

ピーチ姫とクッパの新境地により、ピーチ姫救出に飽きた原作ファンも新鮮な気持ちで挑むことができます。


その他、マリオと長男坊の憂鬱を共有するけど、やはり相容れないドンキーコング。
クッパ様のピーチ姫溺愛妄想に律儀に付き合う腹心・カメック。
などなど脇に至るまで“マリオ劇団”は快調♪

ただヨッシーやワリオなど出番が無かったキャラも残されました。
もっともそこはエンドロール後に{netabare} ヨッシーのたまご?が割れるカット{/netabare} を見るに、
続編やる気満々なので希望は持てます。


【声優 4.0点】
日本語版を鑑賞。

英語の台詞を翻訳した“日本語吹替版”ではありません。
英語版とは別にもう一冊、日本語の台詞で脚本した“日本語版”。
こうなると映画吹替経験よりも、キャラクターを提供するアニメ声優の出番です。

前向きな声質でムードも明るくした主人公マリオ役の宮野 真守さん。
芸術的な怖がりっぷりを悲鳴で再現したルイージ役の畠中 祐さん。

メインだけでなく、マリオの親友を自称し、フライパンを駆使した贈賄が小賢しい異端のキノピオを演じた関 智一さん。
{netabare} ピーチ姫への痛いラブソングの熱唱{/netabare} も笑えるサイコパスだったクッパ役の三宅 健太さん。
ベテランが熟練技で脇を固める盤石の布陣。

その中で異彩を放ったのがルマリー(よろずやチコ)を演じた子役の山根 あんさん。
クッパに囚われ絶望する生贄たちに{netabare} 「唯一の希望、それは死による解放さ」{/netabare} などと無邪気な虚無をバラ撒き追い打ちをかける。
まったく『すずめの戸締まり』ダイジン役から立て続けに幼気な少女に毒を吐かせおってw
日本の将来は虚無の真っ暗闇ですねw
やはり『すずめ』と『マリオ』。日米は地下の奥深~い所でつながっている?のですw


【音楽 4.0点】
劇伴担当はブライアン・タイラー氏。
安定感のあるオーケストラを土台に、時にゲーム版BGMや8bit風アレンジも交える遊び心でアトラクションを盛り上げる。

意外な所では、マリオがアスレチック・ステージに初挑戦する際に挿入された{netabare} 「Holding Out for a Hero」{/netabare}
聞いた時は何でまたwと面食らいましたが、終わってみれば不屈と忍耐の主題にマッチした歌詞世界。
何より『マリオ』が波に乗っていった80年代前半に、
欧米でヒットして、日本でもドラマ主題歌として流行した本曲。
世界の人々があの頃を共有できる適材適所の選曲でした。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 17

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

批評家は低評価で一般に大人気…が本作の本質を表している。

 やっぱり3DCGはアメリカですねえ…すごいです。特にモンスターズインクやミニオンズのようなキャラものをやらせると、とてつもない映像を作ります。本作は、さらに少しリアルよりの街と人間のCGとゲーム世界のCGを融合させていました。この点では、日本では到底マネできないクオリティです。

 で、本作について一時期「評論家の評価は低くて、一般の評価は高い。評論はあてにならない」という言説をネット上で見ましたが、私はその状況がまさにこの映画そのものだと思います。

 大衆化作品=人気のある映画が出来のいい映画とは限らないというのはありえます。それは時間というフィルターを通して何年、十数年、何十年先に残る内容があるかです。あるいは見た人間を考えさせる、悩ませる、余韻を残す、成長させるかです。
 もちろん評論家によって視点は違うし、評価が間違っている場合もあるでしょう。だからこそ、文章で自分がどういうポイントをどう見たから評価したかを言語化するわけです。

 アニメ人気の栄枯盛衰を知っている日本のアニメファンなら「評価は低いけど、人気はある」という意味は分かるのではないでしょうか?何年か前に見たはまったはずの大人気作品を思い出さなくなっていることはありませんか?一方で今でも古い作品で記憶に残り名前が出てくる作品もあるでしょう。

 本作はエンタメの内容としてはゲーム世界の映像化につきます。逆に言えばそれ以外がありません。
 この作品でバッドエンドを心配する人はいますか?伏線があってどんでん返しがあるでしょうか?ルイージと死別する可能性は?ピーチ姫がクッパに寝取らる映画になるでしょうか?配管工という職業差別を中心に社会の分断を描いていたでしょうか?要するにそう言うことです。ポリコレうんざりというのもあるでしょう。

 要するにもっと映像がすごい映画が出てくれば、この作品である必要がないというのが「評価」です。映画史上で置き換え可能ということです。


 エンタメとしては配管工としてのキャラを描き、不思議の国のアリスのような導入をしたこと、マリオ土管を初めマリオゲームのギミックを非常にうまく見せたこと、他のゲームも上手に見せたことは、エンタメとしては素晴らしいと思います。

 ピーチ姫がちょっと可愛くなかったかなあ…という気はします。その辺がアメリカ人との美的センスの違いでしょうか。

 作画は文句なく5です。ストーリーは舞台設定を評価して3.5。キャラは奥行はほぼゼロですがゲームの映像化を評価して4。その他は3です。


 アマプラ配信のタイミング、素晴らしいです。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 16
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

これ以上ないくらいマリオの世界

アマプラで視聴しました、世界で大ヒットしただけあって凄いCG技術でしたね
何より最初から最後まで本当に細かいところまでマリオ愛にあふれた作りに好感が持てました、本当にマリオが好きじゃないとこれだけ世界観を大事にした作品は作れない、ゲームのアニメ化としてはこれ以上なく素晴らしい作品ですね
ストーリーは子ども向けだけどいい映画でした!

【悪いところ】
・マリオとルイージは途中までシナリオ的にもアクション的にも冴えなくてピーチのほうが主役っぽかった、最後にいいところだけ持って行った
・これだけキャラクター勢ぞろいなのにあの人気者が出ない
「オレだよ、ワリオだよ!!」
・・・違います。
めっちゃ綺麗だから激かわヨッシーを今か今かと待っていたら出てこなくて本当にガッカリ
・物語性があまりなく、悪を退治して囚われの姫役のルイージを救出するというファミリー向けな作りは悪く言えば無難で、映画やドラマ、アニメなどエンタメを数多く見ている人ほど退屈に感じるかもしれません
・マリオのゲームはあまりにも有名すぎて、ゲームある程度知っている人なら最後の展開の{netabare} ボロボロになって負けそうになるけどスターを取ってクッパにとどめを刺して逆転勝利すること(ピーチじゃなくてルイージだったのは意外、どうせならピーチが最後まで主役でも良かったかも) {/netabare}は予想通りすぎて、ちょっとひねりが欲しいかも

【良いところはとても多い】
・マリオの世界観をとても大事にしたシナリオと、忠実に再現したとても美しいCG
・任天堂というよりハリウッド映画ような掛け合いとリズムが小気味いい
・2Dマリオのステージやマリオカートのショートカットなどゲームのテイストを上手に物語の中に入れてきている
・キャラクターの表情や動作が細部まで手抜きがなく、さりげない仕草までしっかり描かれていてキャラクターに愛着が持てること
・ルイージ、ドンキー、クッパのキャラはゲームのイメージ通り、ピーチはディズニーのプリンセスっぽいキャラ付けでマリオはハリウッド映画の主役っぽいキャラ付けでちょっとゲームのイメージとは違うかな?

ピーチ姫が{netabare} 「私がみんなを守ります」と勇ましく決めてるときに、キノコ王国国民達の「可愛い僕たちをお救いください」はツボった
姫様ってみんなに守ってもらうイメージだけど、姫様が国民を守るんですね
{/netabare}

投稿 : 2025/03/08
♥ : 16

66.6 2 2023年度の差別アニメランキング2位
シュガーアップル・フェアリーテイル(Webアニメ)

2023年1月6日
★★★★☆ 3.4 (123)
309人が棚に入れました
人間が妖精を使役し、砂糖菓子が幸運をもたらすと信じられている世界――。 そこで聖なる砂糖菓子を作る特別な砂糖菓子職人は、“銀砂糖師”と呼ばれていた。 一流の銀砂糖師だった母を亡くした少女・アンは、跡を継いで、自らも銀砂糖師になることを決意する。 そのためには、年に一度開催される王都の品評会で、職人としての腕前を認められなくてはならない。 王都へ向かう途中、アンは護衛として戦士妖精のシャルを雇う。 シャルは戦士としての腕は確かだが、口が悪く、人間を信用しないせいで、アンとの喧嘩が絶えない。 けれど、そんなシャルと旅をするうちに、友達になりたいと願いはじめるアン。 種族や立場の違い、そして、困難な状況を乗り越えながら人間のアンと妖精のシャルが、ともに紡いでいく未来とは――?

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

夢追う少女と黒いアルテ

見ていてかわいそうになってくる苦しいストーリーだけど、わたしはとても好きです!
アニメでいうと「アルテ」ゲームでいうと「アトリエシリーズ」をドス黒くした感じ

可愛いキャラデザに美しい作画で夢がいっぱい詰まったファンタジーな世界観が素敵ですね!
特に砂糖菓子やシャルの羽の美しさには思わず見とれてしまいます!
それからシャルがカッコ良すぎ!

わたしがこの作品が好きな理由

現実で醜くて理不尽なことっていっぱいあるんですよね
ただ純粋に一生懸命頑張ってるだけなのに、「女だから」「年下だから」っていう安い差別で握りつぶされる理不尽
ただ純粋に信頼できる人と仲良くしてるだけなのに、「媚を売ってる」「どうしてあの子ばっかり」っていう嫉妬される理不尽
一生懸命頑張ってやっとうまくいったと思ったら「ズル」や「陰謀」で横から成果をかっさらわれる理不尽

そんな現実世界であふれているような理不尽にさらされても健気に頑張るアンと、頑張りを見ててくれるシャル達の関係性の尊さでえぐられた気持ちが癒されるけど
とにかく理不尽が過ぎる話で、アンに感情移入すればするほどきっつい
でもそんなえげつない世界で純粋に生きるアンに自分を重ねて応援したくなっちゃいます
恋愛描写もそういうことに疎いアンはコロッと騙されそうなものだけど、上っ面だけで中身のない好意の押し付けに簡単に騙されないところあって、何故だか恋愛面だけは人を見る目があるところがツゴウガイイけど好き
人の醜さが大きい話だから、軽薄な男に次々と騙されそうなものだけどね

世界は醜くて汚いけど、砂糖菓子のように、シャルの羽のように美しいものを美しいと言えるアンならきっと、醜く黒い世界を光で照らしてくれると信じて2期を待ちます!

投稿 : 2025/03/08
♥ : 26

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

クリエイターとしての制作論と恋愛脳がせめぎあうファンタジー

コミカライズはBook☆Walkerの漫画読み放題で連載誌の『ヤングエース』が読めるので読んではいるのですが、アニメの方が先に進んでいます。原作は角川ビーンズ文庫ですが、こちらは未読です。

ということで冒頭についてはストーリーも知っていましたが、後半はアニメが初見という状態で観ていました。

本作は分割2クールということのようで、後半クールは2023年7月からの放送が予定されています。

世界観的には人間と妖精がいるハイファンタジーで、別に転生者とかはいません。かつて人間と妖精は対等でしたが、主人公アンの時代では妖精は差別され、あるいは羽を奪われて人間に隷属させられています。

そんな中で妖精を対等な存在と考えるアンは周囲との様々な摩擦を起こしてしまいます。

一方で「妖精が好む」とされる砂糖菓子が尊重され、優れた砂糖菓子職人は「銀砂糖師」としての栄誉を得るという社会でもあります。

本作における「砂糖菓子」は一種のオブジェであり、砂糖菓子職人は芸術家としての側面を持っています。本作の良いところとして、作中で「良い作品」とされる物がちゃんとヴィジュアル的に美しく描かれていることです。

これにより作中での品評の描写には極めて高い説得力があると思います。

亡くなった母の後を追い銀砂糖師を目指すアン、そしてそんなアンと出逢い護衛となった戦闘妖精シャル、アンと関わる様々な砂糖菓子職人達、そして王族や貴族などが織り成す美しい物語の世界へあなたも是非!

余談: 本作視聴者の間では、アンと同郷のジョナスに妙な人気があったような気がします。みんな大好き、ジョナス…(笑)?

投稿 : 2025/03/08
♥ : 20
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

にがーーーーーい!(笑)

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
砂糖菓子職人の少女を主人公にした、ファンタジー×恋愛モノ。

本作においては、砂糖菓子職人は男性ばかりの職業です。そんな中、女性砂糖菓子職人として奮闘する主人公の生き方にも、注目の作品ですね。

世界観はとても美しいのですが、人の心というかが、結構ドロドロしています。そんなことから、レビュータイトルを(本来は砂糖菓子にちなんで)「あまーーい」にしたいところ、「にがーーい」にしました(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
7、8話目、凄く好きでした。

そこには、2つの対照的な愛のカタチが描かれていました。

1つは、アルバーン公爵とクリスティーナの愛。

クリスティーナ消滅後、一縷の可能性、という程にも不確実な奇跡を信じ、生前の姿の砂糖菓子を見つめ続けることにした、アルバーン公爵。

それは、過去に囚われているとも言えますが、私は、彼のそんな愛のカタチを、批判する権利は誰にもないと思います。

もう1つは、シャルとリズ。

シャルが語るリズは、アンとは真逆の人間でした。それを、アンは「自分はシャルの好みではない」と悲しがりますが、、、逆に言えば、ジャルは、リズの代わりとしてアンを好きになったのではなく、アンをアンとして好きになったということの、証明だと思いました。

それは、自らをかばって死んだリズのことを忘れ、アンに乗り換えているとも言えますが、私は、彼のそんな愛のカタチを、批判する権利は誰にもないと思います。

不変の愛を誓ったアルバーン公爵と、新しい愛を見つけたシャル。彼らの愛のカタチは対照的ではありますが、同時に等価値でもあります。そして、有限の生を持つ人間が不変を求め、無限(長寿)の生を持つシャルが変化を求めたのも、非常に興味深かったです。

ラストも、ようやく砂糖菓子職人になれたということで、ハッピーエンド、、、にならず、またしても苦い展開に(苦笑) ホント、意地が悪い(笑)

てことで、2期こそ、「あまーーーーーい!」というレビュータイトルをつけられるように、期待してます(笑)
{/netabare}

投稿 : 2025/03/08
♥ : 17

69.8 3 2023年度の差別アニメランキング3位
贄姫と獣の王(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (99)
300人が棚に入れました
99番目の生贄として魔族の王に捧げられた少女・サリフィ。しかし彼女は自分の運命を受け入れ、王を恐れず歩み寄ることを決めていた。新月の夜、サリフィは生贄の儀式へと向かうが、そこにいたのは魔族ではなく、人間の姿をした王であった。 サリフィを妃にすると決めた魔族の王は、彼女からレオンハートという名を与えられ、人間と魔族の共生を目指し共に歩み始める。
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

生贄の少女が変えていく獣の国の物語

人間と魔族が争い、魔族に生贄を捧げることを条件に相互不可侵を結んでいる世界。
99番目の生贄として魔族の国オズマルゴに連れてこられた人間の少女サリフィがオズマルゴ王と出会うところから物語は始まります。

原作は花とゆめで連載されていたコミックで、全15巻完結みたいですが未読です。
アニメは2クール全24話。

少女マンガ風味の甘い感じの美女と野獣みたいなのかなと勝手に思ってスルーしてたんですが、友達から面白いよとおすすめされて試しに見てみたらとても面白くてはまりました。

これはもっと知られてもいい良作だと思います。

なんていうか、すごくちゃんとしてる作品だなって。(語彙力なくてスミマセン。。)
絵も綺麗でキャラデザもいい。
魔族と人間の関係、魔族の国も一枚岩でないこと、瘴気の影響、魔族の種族による差別など、世界観もしっかりしていてこれも好印象でした。

それからキャラたちの描き方もそれぞれ個性や魅力が出ていて、キャラが獣たちなので見た目で見分けやすいですw
いいキャラが多いですが、爬虫類の国ムルガのけなげで優しいアミト姫と強くて行動がイケメンの親衛隊隊長のヨルムンガンドが好きでした。
宰相アヌビスも最初ちょっと嫌な感じでしたけど、頑固ながらも王のことを一番によく考えて行動したりといいキャラでした。

サリフィの描き方も、か弱くて助けられる存在ってだけじゃなくて、サリフィの絶望と希望、そして強い気持ちが描かれてたと思いました。
3話はちょっとトラウマになるような、サリフィの絶望が分かるエピソードでした。

サリフィが王代理として色々な国に出向いて、少しずつ理解者が増えていく展開や、魔族を憎むサリフィの幼馴染のイリヤが{netabare}魔族の子と出会い、気持ちが変わっていく{/netabare}エピソードなどなど、お話もとても面白くて、あっという間の24話でした。

サリフィの気持ちを表わしたような1期OP
かっこいい感じの2期OP
しっとりした感じがいい2期EDなどなどOP、EDも良かったです♬

獣たちばかりのキャラだし、萌え要素はあまりないかもですけど、おすすめしたい作品です。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 19

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

リアタイ時は何かと間が悪く0話切り →2023年アニメでもトップクラスの面白さ

【レビューNo.120】(初回登録:2024/4/21)
コミック原作で2023年作品。全24話。

(ストーリー)
決して人間を寄せつけない禁忌の世界、魔族の国「オズマルゴ」。
そんな魔族の国に、99人目の生贄として捧げられてしまった少女サリフィ。
しかし彼女は自分の運命を受け入れ、王を恐れず歩み寄ることを決めていた。
・(今までの生贄と違い)恐れ慄くことなく短気な王様を嗜める大胆な行動
・天啓の夜に知る王様の隠された真実
サリフィを妃にすると決めた魔族の王は、彼女から「レオンハート」という名
を与えられ、自らの理想とする国家を創設するために彼女と共に歩み始める。

(評 価)
・リアタイ時は何かと間が悪く見送っていた
 本作はホントいろいろと間が悪かったんだよな。
 ・キャラデザが(最初は)好みではなかった(中途半端みたいな)
 ・それに前期でやっていた「ノケモノたちの夜」の主要キャラ「マルバス」
  と魔族の王が「ライオンキャラ丸被りやんけ!!」で一気に萎えたw
 ・偶然観たのが、魔族の王の尻尾でサリフィが”もふもふ”してるシーンw
  「やっぱりそういう系の作品かよ!」でトドメを刺された
 で、もういいやとw
 でも交流あるレビュアーさんは軒並み高評価だったので、ずっと気にはなって
 いたんですよね。
 先日ABEMAで一気見配信をやっていたので、「ちょうどいいわ」で視聴し始め
 たら、あまりの面白さに止まらなくて(笑)
 正直「2クールってどうなのよ?!」って感じでしたが、
 ・1クール目にしっかり中締めしてきちんと面白さを提示しつつ、後半にも期
  待を抱かせる構成
 ・2クール目から1クール目に蒔いた種を芽吹かせ、中だるみすることなくラ
  ストに向けて一気に解放
 と、文句のつけどころがないですね。
 むしろ「2クールだからこそ、この作品には価値がある」って感じですね。
 キャラデザもちゃんと作品にマッチしていたと納得しましたし。

・王道展開を丁寧にサブキャラも魅力的に描いている
 ・本作の格子はシンプルで王道です。
  ・ヒロイン・サリフィと魔族の王とのピュアラブストーリー
  ・魔族の王が思い描く、愛に満ちた理想の国家創設のために邁進する姿と
   それを支えるサリフィの献身の物語
  ・差別扱いされている人間サリフィが、少しずつ周りに認められて人(?)
   の輪を築いていくサクセスストーリー
  そこを奇をてらわず、1話1話丁寧に創ってる感じが非常に好感が持てます。
 ・それに本作の一番の魅力はキャラ描写、特にサブキャラがしっかり魅力的
  に描かれている点ですかね。
  例えば「人間サリフィ=差別対象」は分かりやすい設定ですが、本作はこ
  こに「種族間の差別意識」といった世界観も盛り込み、キャラを深堀して
  いきます。これがスパイス的に機能してキャラへの思い入れがより深まる
  って感じですね。
  もちろんそれだけでなく、ベースの描写がしっかりしているのですが。
 ・また少女漫画っぽい
  ・爬虫類族のアミト姫
   サリフィの親友的ポジションで、自身も親衛隊隊長ヨルムンガンドに想
   いをよせる健気な乙女
  ・宰相アヌビス
   嫌われ役ポジションで、人間サリフィを快く思っておらず何かと無理難
   題をふっかけてくる
   (これも根底には、王への忠誠から国家の大局という観点で思慮を廻ら
    せているという描写がよかった)
  というキャラに加え、ヨルムンガンドやイスタン海軍といった男気ある、
  男性が共感しやすいキャラを配している点もポイント高いかなっと。
  個人的には、サブキャラの中でも重要度の低い「部隊長ケイリン」にすら
  「カッコいい」と心奪われるとは思わんかったわw
 ・少女漫画って結構
  ・ヒロインと王子様の2人の世界が至高
  ・サブキャラは2人を引き立てたり、エピソードを創るための駒扱い
  という感じの作品も多いですが、本作は
  ・物語を大きく俯瞰して全体像がしっかり創られている
   (また何気に細部も配慮されている)
  ・サブキャラをしっかり描いて、主人公との相乗効果を生みだしている
  こういうことがきちんと出来ている作品だと思いました。
  やはりサブキャラが活き活きと躍動している作品は、物語に厚みや深みが
  生まれて面白いなっと。
  (それに尺が十分割けるのも2クール作品の強みですね)

視聴前からの手のひら返しが凄いですが、これまで0話切りしてたのを後悔する
ほどに、2023年アニメの中でもトップクラスの面白さじゃないですかね。
まあ作画は覇権アニメクラスに比べると(予算が違うので)さすがに見劣りし
ますが、J.C.STAFFさんはやるべきことをきっちりやってるって感じですね。
そういう点も踏まえた上で、覇権アニメにも劣らないっていう個人的な評価で
大健闘といっていいのでは。
(少女漫画的なポイントを押さえつつも、男性でも十分楽しめるテイストに仕
 上がっている感じで、完結まで綺麗に描いてくれている点も高評価)

(追 記)
テナさんの
>ただ、この作品に関してはイッキに見るのがいいかも?
には同意ですかね。
ストーリーが王道で単純な分、リアタイだと毎回気持ちがリセットされ、少々
退屈感や2クールは長いと感じる部分はありそうなんですよね。
最初に感じた面白さのまま、勢いで一気見する方が向いているように思います。
そういう意味では間が悪くてよかったのか(笑)

投稿 : 2025/03/08
♥ : 16

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

よいアニメだが・・・惜しい。いや、ここらが妥当なのか。

休日に私ご贔屓のアベマなTVで一気をやっていたのでのんびり視聴。

総じて、物語自体は色々なエッセンスを含み、エピソードも硬から軟まで多様。
言いたい事も、伝えたいメッセージも伝わってきて内容も視聴者によって様々に受け止められると思う。

ただ、この多様なメッセージを含むと言うところが、なかなかに厄介で。
メタなお話をすると、どの層に向けての作品なのかが、少し幅広過ぎてガバい感じ、印象を受けてしまう。

そして、作画についても、魔物ををはじめ動物系のキャラで構成されており、主人公のサリフィを際立たせる意味、多様な種族との関係性を描く意味があるとは思うのだが、作画がゆるい・・・。
 ただ、ここがレビュータイトルにある「ここらが妥当なのか・・・」に通じるのだけれども、リアル路線やカッチリ描く路線だとすると、だいぶ雰囲気が変わってしまうし、この日本むかしばなし西洋版みたいな雰囲気は出なくなってしまうだろう。
・・・なので、ここら辺が落としどころなのかなぁ・・・と。

 ただなぁ、いくつかのエピソードでのキャラの心理描写や関係性を見るとだいぶ大人っぽい描写もありました。
「低年齢にも受けそうな絵柄」と言う訳でもなさそうだし、ここら辺のギャップが少しノイズとして受け止められてしまった。
物語の内容と雰囲気に少しだけ統一感が無い感じがしたのです。

ここら辺は「王様ランキング」などにも共通の悩ましい点なのかもしれない。

声優さんは、しっかりと演技でキャラの「ゆるさ」(厳密にはゆるさと言う訳でもないと思うのですが)をカバーしておられました。
特に違和感や問題は感じられませんでしたね。

音楽は第一印象としては、前半後半とも、ほんの少しだけ作品イメージとギャップを感じました。
ただ、慣れる程度のものでしたが。
あくまでも第一印象という点に重きを置いての感想です。

キャラは、前述したように動物系キャラを、ゆるさというか、
少し幼い対象向けと受け止められかねないつくりになっているので、少し弱いというか、もしかしたら視聴意欲を回避させる方向に働く可能性があると思います。(動物系が悪い、と言う訳では無いです)
ただし、これは声優さんの力量でそれぞれの個性が逆にはっきりとしますし、判りやすい点もあると思います。
ここがウィークポイントと感じられて敬遠、回避される方が、もしもおられる様であれば、少しもったいないかもしれません。


2クール相当という事で見ごたえもありますし、キャラの感情や思いは丁寧に描写されている所が多いです。
私が「異文化理解系」が割と好きという事もあるのですが、こちらは、~理解系以上にサリフィを中心に、それぞれのキャラ関係の構築が進んでいくところがじれったくも楽しいです。
あと、王様の一本気なところ、弱さをも認めつつ前進していく様がすばらしいw。

時間、余裕のある機会に観てみてもよい作品の一つだと思います。
視聴者側に余裕が無いと、少しじれったくなってしまうかもしれませんね。
ゆっくりと観てみて欲しい作品です。

機会がありましたら、ぜひご覧くださいませ。

投稿 : 2025/03/08
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